コンプレッションゲージでエンジンの圧縮圧力を測った際に「数値が低い」「気筒ごとに数値にバラつきがある」という結果が出ると、不安になりますよね。
圧縮が低い場合における原因の特定方法はいろいろあります。
この記事では、圧縮が低くなる原因と、次に何をすればよいのかをわかりやすく解説してるので是非参考にしてください。
エンジン圧縮の正常値と異常値の目安

まずは一般的なバイクや車のコンプレッションの正常値を確認しましょう。
- 正常値の目安:1000〜1500kPa(車種やエンジンによって異なる)
- 気筒ごとの差がある場合:±100kPa以内が理想
- 異常値のサイン:
- 全体的に低い(800kPa以下)
- 特定の気筒だけ極端に低い
- 測定するたびに下がってきている
圧縮数値が悪かった場合に考えられる原因一覧

症状 | 主な原因 | 確認方法・特徴 |
---|---|---|
全体的に圧縮が低い | ピストンリング摩耗、シリンダー摩耗、バルブ当たり不良、ガスケット抜け | オイル注入テストで改善 → ピストンリングの可能性大 |
特定の気筒だけ極端に低い | 各気筒のバルブ不良、ピストン穴あき、ガスケット破損 | その気筒だけのプラグ、燃焼状態確認 |
徐々に下がってきた | 経年劣化、摩耗、整備不足 | 走行距離、過去の整備歴を見直す |
白煙・異音・オイル減り併発 | ガスケット抜け、バルブガイド摩耗、シリンダークラック | 排気やオイル量確認、異音発生もチェック |
エンジン圧縮が低い原因の特定

もう一度測定条件を見直そう
まずは、誤測定を防ぐために以下を再確認。
- エンジンはしっかり暖気したか?
- スロットルは全開にしたか?
- プラグはすべて外して測定したか?
- ゲージの接続が緩んでいないか?
基本を押さえた上で、もう一度測定してみましょう。
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オイル注入テスト(ウェット測定)を試す
圧縮が低い場合は、ピストンリング摩耗かバルブ・ガスケット不良かを切り分けるために、オイル注入テストが有効です。
方法は以下になります。
- プラグホールから少量のエンジンオイル(5〜10ml)を入れる
- 再度コンプレッション測定
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数値が回復した場合、ピストンリング摩耗の可能性が高いです。
オイルによって密閉度が高まるので数値は上がる傾向になります。
変化がない場合、バルブの閉じ不良(バルブタイミングのずれ)やガスケット不良の可能性がでてきます。
プラグやオイルの状態を確認
プラグの状態をチェックすると、エンジン内部のヒントが得られるので確認してみてください。
プラグの症状 | 考えられる原因 |
---|---|
オイルで濡れている | ピストンリング摩耗、オイル上がり |
真っ白に焼けている | ガスケット抜け、混合気薄すぎ |
カーボン真っ黒 | 燃焼不良、オイル下がり |
また、エンジンオイルの量と状態も確認しましょう。
バルブクリアランスをチェック・調整
長期間バルブクリアランス調整をしていない場合、バルブ閉じ不良で圧縮が逃げていることがあります。
- 規定値にズレがないか確認
- DIYが難しい場合はショップに依頼
重症の場合はオーバーホール or 専門店に相談
もし以下の状態なら、自分での対応は難しいかもしれません。
- 圧縮数値が極端に低い(500kPa以下)
- 複数の気筒に問題
- オイル上がり・白煙・異音がひどい
この場合は、シリンダーのボーリングやピストンリング交換、バルブ修正が必要です。
原因別費用の目安
作業内容 | 費用目安 |
---|---|
バルブすり合わせ | 10,000〜30,000円 |
ピストンリング交換 | 30,000〜60,000円 |
フルオーバーホール | 100,000円〜 |
症状が深刻な場合は、無理せず信頼できるショップに相談しましょう。
まとめ

コンプレッション測定で数値が悪かった場合は、焦らず原因の切り分けを行いましょう。
- 測定条件を再確認
- オイル注入テストで原因特定
- プラグ・オイル・バルブクリアランスの確認
- 重症の場合は専門家に相談
正しい診断をすれば、自分で対応できる軽症の場合も多いです。
大体はピストンリングやバルブタイミングのズレが多く、原因さえ特定できれば作業自体はそれほど難しいものではないと思います。
以上です。